日本企業の新興国ビジネスにおける「PMF」達成後の施策

海外ににおけるビジネスでその国のPMFの肝となるバリュープロポジションをつくり、PMFを達成できたとしたらそれは日本企業にとって大きな出来事に違いありません。

ただグローバルビジネスにおいて非常に重要なのはPMF達成後の次の一手になります。特に米国や欧州などの先進国ではなく今後成長性が見込める新興国を攻めていく日本企業は特に意識して欲しいのが「PMFを一つの国で達成したあと」の施策になります。それは「新興国」という国の特殊性にあります。

新興国では為替の問題、ハイパーインフレ、規制の問題、内戦など先進国と比較してカントリーリスクが高いため、一つの立ち上げたビジネスを今度はいくつかの国でリスク分散をしておくことが重要となります。そのため1度目のPMFを達成したからといって長期的な成長をしていくためには別のセグメントに対して2度目、3度目のアプローチをトライしながら段階的にPMFを目指す必要があるのです。このような複数回のPMFを経ることで企業は新興国におけるビジネスの中で本当の意味で成長していくと言えるのではないでしょうか。

またこれは新興国のビジネスとは関係なく一般的なビジネスとしても経営者であればこの考えは大事になるでしょう。せっかくPMFを達成してマーケットを抑えたとしてもより競争力のある競合他社が出てくる可能性、マーケットのニーズの変化などそれは海外新興国のビジネスは関係なくどのような商売でも起きうることだからです。

(PMFを達成した後の考え方)

新興国のマーケットで幸運にも1度目のPMFを達成したあとで日本企業の経営者として考えておきたいこと。それはPMFを1度でも達成したわけですから少なくともその国のマーケットではバリューのある商品を投入できたわけですからそれらを踏まえて事業をできるだけ素早いスピードで以下の4つの方向性に進めていくことです。

  • ① 既存セグメントの獲得の注力(例:営業や宣伝広告費を増やしてその国の同セグメントでのマーケットの新規獲得の強化)
  • ② 既存セグメントにアップセルする(例:新しいモデルなどを投入したり、メディアサービスなどえ新規機能の追加により既存顧客からのアップセル を狙う)
  • ③ 新しいセグメントに広げる(例:ドミニカ共和国で軌道にのった事業を横展開して周辺の中南米の国にも広げていく)
  • ④ クロスセル商品を開発する(例1:ドミニカ共和国である客に中古車事業の立ち上げで販売できた場合に、同じ客で今度は中古建設機械を販売して事業を倍増させる、)(例2:ウェブ構築を採用させてもらった顧客に対して今度はSEO対策、もしくはSNS運用代行サービスなどでも事業を行わせてもらう)

これらの①、②、③、④までのPMF 達成後にそこで安心せずに速やかに次のPMFを目指して行動するという考えは弊社が過去15年の間にどれも強い意識で取り組んできたことですが私自身も最初からそのような考えができたわけではありません。新興国というマーケットで1度苦労して立ち上げたビジネスが様々なカントリーリスク、ビジネスリスクで0になってしまうという厳しい経験をしてきた中で生き残るために必要性を感じて経営者として成長せざる負えない中で身につけた考えと言えます。